ごあいさつ
薬剤学懇談会(研究討論会)は、薬剤・製剤に関する研究や課題について、寝食を共にする合宿形式で討論し、研究者間の親睦を深め、その後の研究開発にも意見・情報交換できる人脈を構築することを特徴とする会で、これまでに日本の薬剤学・製剤学の発展に大きく貢献してきたと言っても過言ではありません。2020年は東京オリンピックが開催されますが、第1回薬剤学懇談会が開催された1964年は初回の東京オリンピックが行われた年でした。この伝統ある薬剤学懇談会研究討論会は2019年から「令和の薬剤学を考える懇談会」と名称を改めましたが、累積第57回目となり、この度、その実行委員長を仰せつかり、企業研究者として当該分野で長年研究開発に携わってきた自分にとって大変光栄なことと感じています。
本会を主催する「創剤フォーラム」の英語名はForum for Pharmaceutical Technology Innovationですが、敢えてInnovation(革新)ではなくRevolution(革命)をキーワードに選びました。私の個人的な定義では、前者では今ある既存の技術の枠から出ることはできませんが、後者では既存の枠組みを打ち破り新たなものを創り出すという意味が含まれています。昨今の薬剤学・製剤学を取り巻く環境変化をしっかりと捉え、将来に向かって大きく羽ばたきたい(新たな技術の創出をしたい)という強い願いを込めて、今回のテーマを「テクノロジー・レボルーション」とさせていただきました。
特別講演として、落谷孝広先生(前・国立がんセンター分野長、現・東京医大教授)には、今、最もホットな研究領域であるエクソソームに関するご講演を、森和彦先生(厚生労働省大臣官房審議官)には、創薬・育薬と薬事規制に関するご講演を、米国Absorption Systems社社長のPatrick Dentinger先生には、ベンチャー企業成功の秘訣に関するご講演をお願いしています。また、イブニングレクチャーとしては、岐阜薬科大学特任教授の竹内洋文先生と帝京大学薬学部特任教授の丸山一雄先生のお二人に、それぞれの研究生活を振り返ってお話しいただく予定です。また、5名の依頼講演演者の先生方には、再生医療、抗体薬物複合体 (ADC)、DDS、人工知能 (AI)、ベンチャーキャピタルと研究者にとって関心の高い話題を提供いただきます。
会場は滋賀県の「ホテル&リゾーツ長浜」、会期は2020年6月18日(木)~19日(金)で、創剤フォーラム幹事の山下伸二先生のご厚意により、摂南大学薬学部薬剤学研究室の先生方にご支援いただきます。この場を借りて感謝申し上げます。ご参加の皆様と、10年先、20年先の薬剤学・製剤学の将来像を念頭に、熱く夢を語り合うことができれば、実行委員長としても幸甚です。是非奮ってご参加ください。心よりお待ちしています。
第2回令和の薬剤学を考える懇談会 実行委員長
株式会社LTTバイオファーマ 取締役・湘南研究所長
菊池 寛